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2023.02.01
【店舗ブランディング事例】東京オーブンのブランドが出来上がるまで
赤坂見附駅近くのビストロ「東京オーブン」のブランディング事例の紹介です。コンセプトから、ロゴ、メニュー、ショップカード、ブランドムービー、Webサイトまで、店舗立ち上げに関わるデザイン全般を制作いたしました。その制作過程とブランディングのポイントを解説します。
ブランディングは、クライアントと共同経営する気持ちで
経営戦略に寄り添って正解を探るのがブランディングの原則です。まずは事業についてじっくりお聞きして、目指すべきところや課題をオーナー様と共有するところからスタートします。
東京オーブン様の場合は事業方針発表会に参加させていただいたり、渋谷、原宿、恵比寿のなど繁盛店視察に同行させていただいたりと、現場の空気を感じながらブランドの持つ強みや新規出店地域の特徴をつかむことができました。また、同行させていただくことでベクトルを同じ方向に合わせてからスタートすることも大切にしております。
いくつかのヒアリングを通して、ブランディングの鍵になる店舗の特徴が見えてきました。
- 店舗の外に設置したテラス席で「オープンエアー」な空間を演出。仲間内でワイワイ楽しむ開放的な時間を提供できる
- 赤坂はオフィス街であり、海外観光客も行き交う場所なため、お店がとても賑やか
- お客様が食べたいと思うような「旬の食材」をふんだんに取り入れている
- 今、流行りの「クラフトビール」「ナチュラルワイン」を入れ替えながら提供している
- なんと言っても、創業当時よりの大人気メニュー、南部鉄器で提供するローストチキンのサプライズ感
今回出店する赤坂エリアはさまざまな企業が立ち並ぶオフィス街でありながら、海外の観光客なども行き交う活気に満ちた地域です。賑やかな雰囲気の中でこだわりのメニューを楽しめる、開放感のあるお店。そんな様子をブランディングが目指すゴールとして共有した所で、コンセプト開発へと進みました。
コンセプト開発は、機能的に伝えて情緒的に感じるものを。
『OPEN AIR BISTRO』
目指すべきゴールを実現するためのコンセプト開発は、リサーチから始まります。競合となる店舗はどこか、ターゲットが求めているものは何か、足を使った調査とWEBリサーチを通して、ブランドが表現すべき価値をキーワードに落としていきます。
テラス席の開放的な空間でお客様が賑やかに楽しみ、そこで日本のさまざまな地域の「旬な食材」を使ったお料理、クラフトビールとナチュラルワインを楽しむことができる、居酒屋でも、レストランでも、ビストロでもない。そんな新しい店舗を示すキーワードとして創出したのが『OPEN AIR BISTRO』です。
コピーは、
『旬のものをおいしく!クラフトビールとナチュラルワインとこだわりの食材のビストロ』
「こだわりの食材」「クラフトビール」「ナチュラルワイン」をダイレクトに繋ぐことでシズル感を表現し、誰もが想像できるような言葉に落とすことで親近感を抱かせます。
ロゴマークはコンセプトと潜在的なイメージを形にする
ロゴマーク提案で最も大切なのはクライアントの潜在的なニーズを探り顕在化させる事です。ヒアリングとリサーチを通して開発したコンセプトを、様々な軸からロゴマークとして形にしていきます。
できる限り多くのラフ案をデザイナー達が持ち寄り、取捨選択とブラッシュアップを重ねて方向性を整理していきます。
今回は下記の7つの方向性を大ラフとして提示し、ヒアリングを行いました。アイデアをビジュアルとして提示することでオーナーの中に潜在的に持っていたブランドのイメージが顕在化して掘り起こせるようになります。
A案:東京オーブンの調理器具、南部鉄器をモチーフとした案
B案(左):看板メニューをモチーフとした案
C案(右):クラフトビール、ワインをモチーフとした案
D案:野菜へのこだわりをモチーフとした案
E案:お皿、カトラリーをモチーフとした案
F案:シェフをモチーフとした案
G案:タイプフェイスをモチーフとした案
これらの案の中から、実際にどのような方向性にするのかを吟味しながらデザインを進めていきます。1stデザイン、2ndデザインとプレゼンやディスカッションを重ねて完成へ向けてブラッシュアップしていきます。
そして、最終デザイン決定。
ほとばしる泡のイメージと、TOKYO OVENのタイプフェイス。英文と和文で堂々と店名を入れ、いち早く「東京オーブン」という名前を記憶していただけるロゴに仕上げました。
シズル感たっぷりのキービジュアル開発
印象的なキービジュアルも、店舗のブランディングを成功させるために欠かせない要素です。一目でそのお店を記憶に焼き付け、ふとした時に思い出して足が向かってしまうようなデザインにするのが理想です。ロゴマークやネーミングだけでは達成できない強いイメージ訴求をカバーします。
東京オーブン様のキービジュアルは、一番人気の看板メニューであるローストチキンを中心に制作しました。サプライズ感のある南部鉄器とローストチキンの組み合わせをシズル感たっぷりに表現し、メニュー、ショップカード、Webサイトなど、あらゆる媒体に登場させて店舗イメージと結び付けてお客様に定着させます。
写真にするかイラストにするかは考えどころでしたが、今回は赤坂の個店ということで、独自性を強調しやすいイラストで表現することにしました。複数人のイラストレーターへ依頼し、いくつかの方向性展開とブラッシュアップを経て最終的なデザインへ落としていきました。
イラストA案
メニュー作りのカギは徹底した運用検証
メニューをデザインする上で重要なのは、店舗でどのように運用されるのかをはっきりと想定しておくことです。台割りの段階で何度も検証を行って、最適なページ数や日々の運用オペレーションを決めていきます。
私共が飲食店にご提供する最も多いパターンは、グランドメニューとサブメニュー(特別メニュー)の組み合わせなのですが、今回はグランドメニューのみでオペレーションしていく事に。お客さまの為に毎月社内でグランドメニューを更新していきたいというオーナー様の強い想いを形にしました。
当初、台割は以下の2方向の案で提案を行いました。
A案:オーナーのこだわりを読み物化した複数ページ案
B案:見開きで全てのメニューを見せる案
A案の方向でブラッシュアップを行い、キービジュアルのイラストを表紙に、裏面にはこだわりポイントをまとめる形になりました。中面にもシズル感のあるイラストを載せ、料理ごとのリード文と合わせて想像力を刺激し、期待感をあおるメニューに仕上げています。
決定稿
店舗側のスタッフで毎月のメニューの変更にも対応出来るように設計しています。初回分を料理専門のライターに依頼し、協力して運用のガイドライン化を行っています。
基本デザイン、紙の種類と斤量、印刷方法、変更可能なデータ、そういったルールをスタッフへ向けのマニュアルにまとめることで安心して運用していただける仕組みを整えました。
リピーターの心をつかむショップカード
料理・接客、店舗での体験に満足していただいたお客様に持って帰ってもらうためのショップカードは、継続したリピーター獲得のために欠かせないツールです。
「この前行ったところ良かったけど、なんてお店だったっけ?」なんて言わせてはいけません。コンセプト、キャッチコピー、メインビジュアル、ロゴマーク、店舗を覚えてもらうのに大切な要素をギュッと凝縮します。さらに地図とQRコードを載せれば再訪問のための導線は完璧です。
店舗の臨場感を伝えるWebサイト
Webサイトは店舗の魅力を伝えられる臨場感あるデザインを目指しました。メインビジュアルには店舗の雰囲気を直感的に伝えるブランドムービーを制作して埋め込んでいます。デザイン素材としてメニューと同じような温かみのある背景、美味しそうな料理の写真をふんだんに使用し、こだわりの食材紹介、店舗情報、メニューのPDFなど、東京オーブン様の魅力を伝えるのに必要なコンテンツを揃えています。
情緒的な訴求に効果抜群のブランドムービー
実はWebサイト用の撮影は当初は写真のみの予定でした。オーナー様との打ち合わせを通して仕様を詰めていく段階で、ブラント価値を伝えるうえで情緒的な訴求が重要で、そのためには映像制作が必要だという話になり、2日間の撮影を行うことにしました。
決定した日の晩、早速カメラマンと撮影に伺いました。金曜日の夜でしたので、店舗はほぼ満席。お客様は皆満足げな表情で食事を楽しんでいて、オープンエアビストロのイメージを伝えるのにもってこいのタイミングでした。カメラマンの素晴らしい撮影技術もあり、活気ある映像を収めることに成功しました。
2日目は、コーディネーター、カメラマン、アシスタント、ディレクター、という少数精鋭のメンバーで休日の営業開始前まで撮影を行いました。限られた時間の中でしたが、事前に作りこんでおいた香盤表に沿ってテキパキと進行し、必要なところはじっくりこだわって撮影することができました。
急遽決まった撮影でしたが、限られたスケジュールの中でベストな素材を揃えることができました。編集の技術力もあいまって、お客様にも大満足していただける映像が完成しました。ぜひ一度ご覧ください。
東京オーブン様のブランディングのポイント
- 地域で唯一無二のコンセプト『OPEN AIR BISTRO』の開発。一つでも多くの特徴を逃さず発見し、差別化された価値を顧客に示す。
- キャッチコピー『旬のものをおいしく!クラフトビールとナチュラルワインとこだわりの食材のビストロ』1人でも多くの人に刺さり、ブランドイメージを思い描けるようなコピーを開発する。
- キービジュアルの作成。人気商品のイラストを複数のツールでリンクするように用いることでブランド訴求に相乗効果を生む。
<納品物一覧>
地域マーケティング資料一式
コンセプトとコンセプトタイプフェイス。
店舗ロゴ、ロゴマークガイドライン
グランドメニュー、データ、説明書
ドリンクメニュー、データ
コンセプトムービー、
ウェブサイト(サーバー設定から公開まで)
そのほか、ブランディングに関わる資料。
まとめ
ブランディングは常に経営と共にあります。店舗ブランディングにおいては、地域や店舗ごとの特色を見極めターゲットに刺さるコンセプトを開発することが特に重要です。
また、コンセプトからデザインやコピーに落としていく際にも、可能な限りオーナー様と意見交換を重ねて最良のアプローチを模索し続けることが大切です。デザインの力にオーナー様の想いを掛け合わせることで、店舗ブランディングは成功に大きく近づきます。
スタイルメントではヒアリングや調査を通した分析、目標設定のお手伝いから制作まで。予算や目的に応じたブランディングのプランを提案させていただいています。まずはご相談から、お気軽にお問い合わせください。
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