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2022.11.30
「企業ロゴができるまで」 三光エステート様編
ロゴマークの作り方に正解はありません。制作方法や値段も制作会社によって様々です。スタイルメントではロゴづくりを通してお客様と共に作り上げることを大切にしてきました。今回はこれまで500件以上のロゴマークづくりを通して培ってきた制作のポイントを解説させていただきます。
プロジェクトについて
今回は三光エステート様の事例を参考に、ロゴマークが出来上がるまでの流れをご紹介いたします。
もともとは採用サイト制作の過程で、ブランディングのためにイメージを一新したいということで、ロゴマークを提案させていただくことになりました。では、実際にロゴマークの制作過程を見てみましょう。
完成までのプロセスについて
ロゴマークが出来上がるまでのプロセスは下記のような流れになります。
①ヒアリング
②リサーチとコンセプトメイキング
③ラフデザイン
④1stデザイン
⑤2ndデザイン
⑥3rdデザイン
⑦ガイドライン制作
⑧ブランディングツールへの展開
納期やご予算に合わせてプロジェクトを進行するので、ケースバイケースで工程をスキップしたり前後させることもありますが、基本的にはこういった手順を踏んで制作にあたります。
①ヒアリング
まずは、ヒアリングを行います。あらかじめ質問項目をまとめたシートをお送りして内容を考えてもらい、打ち合わせを通して深く掘り下げていきます。会社の来歴や、これからのビジョンなど、ロゴマークが表現する企業のイメージを把握してお客様と意識を揃える重要な工程です。
三光エステート様のヒアリングで特に興味深かったのは、社名についてのお話でした。「三光エステート」という社名はバードウォッチングを趣味とされている創設者が三光鳥という鳥からとって名付けたものでした。その三光鳥は鳴き声の「ツキヒーホシ、ホイホイホイ」に含まれる3つの光(月・日・星)が由来だそうです。こういった情報を全て直接デザインに落とせるわけではありませんが、モチーフの方向性を探るうえで重要なヒントになります。
②リサーチ
ヒアリングを通して基本的な情報を確認できたら、リサーチに移ります。今回の場合は地域密着のサービスが強みでしたので、社内のデザイナーが中心となって同じ地域にある競合企業のロゴマークを調べていきました。
そして、
- 理念は何か
- 誰のためにどこで使用するものか
- 強みはどこか
等、ヒアリングや調査を通して企業や市場に対する理解を深めていきます。
そうやって精査した情報をもとに、
- 価値規定
- 競合分析
などの、デザインに込めるメッセージや方向性を絞っていくための資料にまとめます。資料をもとにお客様との打ち合わせで認識をすり合わせて、制作の方針を固めていきます。
③ラフデザイン
制作の方向性がある程度固まったら、アイデアを形にしていきます。まずは3人~5人ほどのデザイナーが作業に入り、数十案の手書きラフ案を作成します。
ロゴのアイデアによっては、データで扱った方が形に起こしたりイメージを展開させる上で効率が良いこともあるので、必ずしも手書きにこだわるわけではありません。ただ、アプリケーションを使っていると、どうしてもアイデアを広げるよりも綺麗に整えようとしてしまうので、特に経験の浅い内は手書きで作業するようにしています。
手書きの作業は自由度が高く、アプリケーションで制作するよりロゴのイメージを素早くアウトプットできます。短時間でアウトプットを繰り返すなかでより具体的なイメージが掴めたり、新しいアイデアが浮かんできたりと、ロゴの案を出す上で欠かせない工程です。
使い易さや視認性といった機能面のチェックや、コンセプトの伝わりやすさや目新しさといった表現面のチェックを通して、社内でラフデザイン案を絞っていきます。
内容がまとまったらリサーチ情報とデザイン案と今世部とを資料にまとめ、プレゼンテーションを行うことで更に深いヒアリングをさせていただきます。
④1stデザイン
ラフでのフィードバックを元にデザイナーがロゴを練り込んでいきます。出てきた案を表現のカテゴリーごとに整理し、1stプレゼンテーションを行います。デザインコンセプトや作り手の意図をお客様に最大限お伝えし、方向性が一致するデザインを探っていきます。
⑤2ndデザイン
1stデザインのプレゼンテーションのフィードバックを受け、より詳細なブラッシュアップに向けて方向性を絞っていきます。
・三光鳥の瞳モチーフ案
・三光エステートロゴ案
・漢字をモチーフにしたロゴ案
・光のロゴ案
今回の場合は4点に絞られたので、それに対する派生案を再度制作し色々な可能性を探り、2ndデザインプレゼンテーションに向けて案を絞り込んでいきます。
⑥ブラッシュアップ
以降、3rd,4thと繰り返し、スケジュールや予算の許す限り改善を重ね、最終決定案にしていきます。ブラッシュアップの過程で、オリジナリティやコンセプトが削ぎ落されてしまわないよう注意しながらロゴを完成させていきます。また、ロゴの基本形が完成してきたあたりで、縦書きバージョンや、横長のバージョン、白黒表現など使い勝手を考慮してロゴマークを展開していきます。
三光エステート様のロゴ制作では、「三光鳥そのものではなく、三光という言葉に重きを置く」という方向性に固まり、「光」の字を抽象的に表現したロゴ・背景に虹色を使い、輝きを表現したロゴにまとまりました。
⑦ガイドライン制作
最後に、ロゴのガイドラインを制作します。ガイドラインでは、ロゴの使用にあたっての注意点を記載し、ロゴの魅力と役割を最大限に発揮し、ブランド表現が崩されないよう細心の注意を図りながら制作して行きます。
このガイドラインと納品データをお客様にお渡ししてロゴの制作は完了となります。
⑧ 他ブランディングツールへの展開
ロゴが完成したら、ロゴを使用した各種ブランディングツールを展開していくことになります。調査やヒアリングを通して得た知見を最大限に利用し、より良いブランディングツールになるようご提案いたします。
まとめ
今回はロゴが完成するまでの流れを解説してきました。全体を通して、お客様とのやり取りや細かなブラッシュアップの積み重ねなど、人対人のコミュニケーションでつくられていく割合が大きいことが伝わったでしょうか。
最近はAIツールでキーワードにあったロゴデータを出力できるサービスもあり、形の整ったロゴを用意するだけならデザイナーを介さなくても完結できてしまいます。しかし、「企業の顔」として長く愛される、クオリティの高いロゴデザインを完全に自動化するのは、当面の間は難しいと考えています。リサーチ情報を精査したり、企業の想いのようなニュアンスをくみ取ってユーザーとの接点を探っていったりと、絵作りと切り離せないデザイナーのノウハウが存在するからです。ただ、今の時点でもある程度方向性を絞ったうえでのアイデア出しには役立てられそうですし、今後ロゴマーク制作の工程がアップデートされていく可能性は大いにありそうです。
どんなツールを使うにしても、コミュニケーションを通してお客様の想いを引き出し、本当に必要としているデザインを提示するのが私たちの仕事です。スタイルメントではこれからもお客様のブランドによりふさわしく、価値を高められるロゴを制作してまいります。
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