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2021.03.02

【DXは、神様である?Vol.3】DXを始めるときに、推進部門が考えるべきこと

年が明け、緊急事態宣言が発令されてから早1ヶ月以上が経ちました。この状況に伴い、テレワークもすっかり馴染んできました。今後、さらに就業環境やサービスの在り方が加速していきますが、DXを始める時、推進部門はまず何をするべきか? TISの事例を元に紐解いていきましょう。

【DXは、神様である?Vol.3】DXを始めるときに、推進部門が考えるべきこと
目次

    今や、5人に1人がテレワーク!

     先日、内閣府が『新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』という資料を発表しました。これによると、働き方に関して、「テレワーク(ほぼ100%)」「テレワーク中心(50%以上)で、定期的に出勤を利用」と答えた人が約21.5%。実に5人に1人以上がテレワークを実施している計算になります。日本の労働者は6,000万人程度ですから、テレワーク人口は1,200万人程度。就労者の10人に1人がテレワークを行っている計算になりますね。
     テレワークが始まった当初、実行できるのは1割程度だと言われていました。移行できない背景には、「印鑑が必要」「紙の資料での情報共有が必須」といった社内制度も関連していますので、社内制度改革が進めば、今以上にテレワーク人口は増えるかもしれませんね。

    DXをどのように進めるか。何に気をつけるべきか。

     自社でDXをしようと考えた時に「何から始めればいいの?」「自社に足りないことはなんだろう」と考えてしまう担当者は多いはず。サービスを導入するにしても、開発するにしても、疑問はつきませんね。
     結論から申し上げると、DXの推進には、
    「なぜ」
    「なにを」
    「どのように」
    「誰が」
    「どんな体制で」
    行うかをキチンと整理することが不可欠です。DXという言葉は、あくまでも手段と現象を表したもの。これらを念頭に置いて進めなければなかなか前に進みません。
     これは「UI/UXを考えた上で導入、構築するのが大切」とも言い換えられます。これらの点を満たすことで機能のみならず、ブランディングも実現できるため、とても大切なのです。

    DXを進めるにあたって、どんな組織体制がベスト?

     独立行政法人情報処理推進機構が出している資料『デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査』によると、DXを進める内部の組織体制は、2グループ6パターンに分かれています。
     1つ目のグループは、「組織新設型」として、新たに部門を作るもの。ここには
    「独立事業部門立ち上げ」
    「全社企画」
    「DX企業新設(別会社化)」
    の3パターンが入ります。
     2つ目のグループは「既存組織推進型」として、既存部門の業務としてDXを進めるもの。ここには
    「企画部門推進」
    「IT部門推進」
    「その他部門推進」
    の3パターンが入ります。

     どの方法がいいのか、企業によって適正は分かれますが、一番に多いのは「独立事業部門立ち上げ」。すなわちDXの推進を目的とした部署やグループを新設する方法です。
     DXはこれまで見てきた通り、思い切った措置が必要です。そのため既存部門が担当すると、業務範囲が膨大になってしまい、なかなか手に付かないというケースも多い。そのため、1つ目のグループに属するような方法でDXを推進する方法が増えています。

    時代の変化に先んじて、DXサービスを開発したTIS

     実際に、DXを専門とする事業部門を立ち上げ、成功させた企業の例に、国内大手のSIerであるTIS株式会社があります。TISは、クレジットカードやデビッドカードの基幹システム開発に強みを持つことで知られていますが、時代の変化を意識して、これまでのような受託開発ではなく、DX関連部署を新設することでサービス開発を促進。培ってきたノウハウを活かし、全社を巻き込んで試行錯誤することで、新たなDXサービスを生み出しました。

     現在、日本政府は、給与のデジタルマネー支払いの解禁を検討していることをご存知でしょうか? TISはこれを受けて、プリペイドカードの運用業務を一括で提供するサービス「PrepaidCube+(プリペイドキューブプラス)」に、「給与デジタルマネー払い機能」に追加することを発表しました。今後、法律の改定を待たなければいけませんが、この機能があることによって企業は銀行を介さず、ダイレクトに従業員へ電子マネーで給与を支払うことができるようになります。付随業務やコストの大幅な削減を実現できるため、まさにDX時代の大胆なサービスだと言えます。

     TISは前述の通り、クレジットカードを主とした金融分野に強みがありますが、支払い方法が多様化し、顧客先の手数料が減少していることに危機感を覚えたとのこと。ゆくゆくは自社の事業にも影響を与えるのではないかと考え、先手を打ちました。
     TISは本事業を推進するために、より専門性に特化した中途採用に力を入れたり、自社が新たにオープンしたコワーキングスペースにて、スタートアップやパートナー企業等の外部組織と積極的に交流を図ったりしながら開発を進めています。危機意識を持ち、経営陣が積極的に対策を講じたこと。部署を新設し、思い切った戦略を取ることが、新たなサービス創造につながったと言えるでしょう。

    事業のピボットには、経営陣の覚悟と、推進部門の努力がある

    「これは大手のTISだからできたのではないか」と思ってしまいますが、受託型のビジネスからサービス開発型のビジネスにピボットするのは至難の技。しかも規模が大きくなればなるほど、その傾向は強まってきます。DXを推進するにあたって、経営陣の理解と覚悟、またDX推進部門の多大な努力があったことは、想像に難くありません。

     今回は、DXを考えた時に、推進部門がどのようにプロジェクトを進めていくかを考えてきました。方法は専門家に相談するとしても、「なぜするか」「何をするか」「誰がするか」といった根本的な問いを事前にはっきりさせておくことが、成功の秘訣ですね。

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