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2021.06.29
ブランディングの要は、企業の姿勢と商品が生まれる過程にある
大きく変化する時代の中、企業、そしてブランドのあるべき姿も大きく変わっています。 今、生活者の中で、何がどのように変化しているのか。その変化を的確に捉え、ホームページなどのコミュニケーションツールを通じて、想いと姿勢を発信していくことが、すべての企業に求められています。
時代の変化とともに、生活者の意識も大きく変わっている
時代は刻々と変化しています。特にここ数年の社会情勢の変化は大きく、それが人々の消費行動や生活様式に大きな影響を与えています。
社会の変化といえば、真っ先に思い浮かぶのが新型コロナウイルスです。日本はもとより世界中に大きな影響を与えており、現時点で解決の糸口はまだ見えていません。
それに伴い、働き方や生活習慣は大きく変化しました。日本ではテレワークが進み、自宅で仕事をするビジネスパーソンが急増。飲食店やレジャー施設の営業時間は短くなり、繁華街が早々に暗くなる……といった状況は、もはや当たり前の光景となりました。
同じく見逃せないのは、環境問題にまつわる人々の意識の変化です。現在はSDGs、ESG投資といった言葉が人々に浸透し、レジ袋の有料化や二酸化炭素の排出削減など、様々な政策がとられるようになっています。
環境問題といえば、一昔前までは企業や国の問題と思われていましたが、現在では私たち生活者も密接に関わっています。アパレルをはじめとした生活雑貨や消費財の分野では、「サステナビリティ」「エシカル」といった言葉が当たり前に使用され、雑誌でも関連した企画が組まれることも多くなりました。
前述の新型コロナウイルスの影響も相まって、働き方、また大量生産・大量消費型の経済状況を見直そうといった機運は、大きく高まっています。
生活者が見ているのは、企業・商品づくりの姿勢
大量生産・大量消費の時代には、どれだけ様々な機能をつけられるか、コストを抑えられるかといった指標が大切でした。そのため、そのような時代のブランディングは、「憧れの商品を手に入れたい」と思う生活者の意識の醸成を担うことが、多くの企業にとってテーマとなっていたのです。
しかし、現在は違います。生活者の意識が大きく変化している時代では、「みんなが憧れる商品」は、幻想となってしまいました。ひとつの正解はなく、各々がバラバラの価値観を持つ時代。そのような時代に成功するブランディングの要点とは、一体なんなのでしょうか。
結論から申し上げましょう。それは企業や商品の姿勢です。
「……なんだ。よく聞く話じゃん」と思った方もいるかもしれません。しかし、頭で理解はしていても、それを事業に落とし込むのは難しいもの。「結局、企業の姿勢ってどういうこと?」「具体的に何をどうすればいいの?」と感じている方も、決して少なくないはずです。
「結果」だけでなく「過程」が意識される時代に
世界の経済史を見返しても、今日ほど企業の姿勢=企業のブランドが、大切にされている時代はありません。
少し前までは、生活者が目にするのは完成品と最終価格のみ。どのように作られたか、なぜこれだけ安くできるのかといった背景を考えることはありませんでした。
しかしここ20年〜30年で、透明性を求める声から、例えば農産品では産地や農家の記載、またトレーサビリティ(追跡可能性)といった形で、生産から流通までの過程を開示することが義務付けられました。
さらにここ数年では、製品を安く作るために環境に悪い原料を使っている、また発展途上国の女性や子どもが劣悪な環境で長時間労働を強いられているといったニュースが明るみになり、「環境負荷をかけない原料・生産工程であるか」「生産に携わる人々の労働環境はどうか」といったことにも目が向けられるようになりました。
SNSの発達も相まって、このようなネガティブなニュースは一気に知れ渡るようになり、人気のあるブランドでもイメージを毀損してしまうケースが散見されています。
企業の姿勢を表明することで、ブランドイメージをあげたカゴメ
こういった歴史を紐解くと、「企業の姿勢」という言葉の重みが、ズッシリと体感できるかと思います。
すなわち安ければいい、高機能ならいいという消費の目線だけでは、もはや生活者は納得せず、どのような想い・姿勢で作られたかという過程が大切になってきているのです。
先日、トマト加工品を生産・販売するカゴメは、人権問題でゆれる中国のウイグル自治区産トマトの使用中止を発表しました。このニュースは多くのメディアで取り上げられ、SNSでは「カゴメを応援します」「勇気あるアピールを高く評価します」といったコメントが見られましたが、まさにこの現象は「企業の姿勢を大切にする」生活者の意識を象徴していると言えるでしょう。
今後、この流れがより強まっていけば、「なぜこの事業をやるのか」といった、その企業のブランド・ブランディングの原点も生活者は意識するようになりますし、企業の想いや姿勢を発信していくことの重要性が、ますます高まっていくと言えます。
理念を社会問題と結びつけ、ブランディングを実現する石坂産業株式会社
実際に、時流と自社の理念を結びつけ、ブランディングに生かしている企業に石坂産業株式会社があります。
石坂産業は産業廃棄物処理を事業としていますが、ほかの同業者とは違う志を持っているかもしれません。創業者の理念は「ごみをごみで終わらせない社会の創造」。社員も自分たちの仕事を「産廃処理」ではなく、「循環型経済をつくる取り組み」と捉えながら、日々事業に向き合っているのです。
創業から半世紀経った現在では、そのような想いを「自然と美しく生きる、つぎの暮らしをつくる」をミッションに、「Zero Waste Design(ゴミゼロ社会のデザイン)」をビジョンに据え置き、ホームページに落とし込むことで、徹底的に内外にメッセージを発信しています。
そのような石坂産業のコミュニケーションは少しずつ浸透していき、近年では様々なメディアで取り上げられたり、多くの企業が視察に訪れたりするようになりました。
加えてこれらのメッセージは採用でも共感を呼び、今では産業廃棄物処理の会社としては珍しく、大卒の志望者が多数エントリーしているとのことです。
まとめ
石坂産業は、創業時からの想いをきちんと言葉に落とし込み、時流に合わせて発信することで、独自のブランディングを実現してきました。
冒頭でも述べたように、現在社会は大きく変化しており、企業には透明性や正しい姿勢が強く求められています。そのような状況で大切なのは、きちんと自分たちの姿勢を明確にし、発信していくこと。この作業は困難を伴いますが、絶大なリターンがあるのも確かです。
社会情勢とともに、価値観が大きく変化する時代。自社の姿勢はどうか、想いはきちんと内外に伝わっているか、今一度考えてみるのはいかがでしょうか。
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