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AIを使った写真修正でよくあるパターンと、気をつけるべきポイント

AIの普及との写真のレタッチ作業

最近、ネット上でAIによって生成された画像を頻繁に見るようになりました。 一般のSNSやブログはもちろん、企業の広告バナー、Webサイト、商品紹介に至るまで、あらゆる場面でAI生成画像やAIによって修正された写真が活用されています。
そこには著作権侵害やフェイク画像の拡散といった深刻な問題もはらんでいますが、企業が情報発信する上でボトルネックになっていた画像などの編集ハードルが下がっているのは事実。競争力を高める手段として、コストを抑えながらより良いビジュアルを作れるAIを多くの企業が利用するようになったのは自然な流れと言えるでしょう。

制作の現場でも、撮影コストとの兼ね合い、物理的に撮影が困難なケース、あるいは純粋にクオリティの高いビジュアルを追求したい場合など、AIを用いた写真の加工や素材画像の生成が現実的な手段として選択肢に入るようになってきています。
もちろん、写真の加工自体は「レタッチ」と呼ばれ、AIが登場する以前から行われてきました。 色を明るく調整したり、モデルの肌を滑らかにしたり、食べ物をより美味しそうに見せたり、背景に写り込んだ電線を消したりといった作業です。
現状、デザイナーがAIを用いる際は、単体で完結させるというよりは従来からの作業のスピードを向上させたり選択肢を広げたりするためのツールとして扱うことが多いです。

今回は、こうした従来のレタッチ作業も含め、デザインの現場でAIがどのように写真加工や画像生成で活用されているのか、その加工パターンやどのような場合に行われているかを紹介したいと思います。

写真修正で使用しているAI

現在、画像生成系のAIサービスは群雄割拠の状況で、トレンドの移り変わりも激しいため、現時点で主によく使っているものを紹介しておきます。

Adobe Firefly(ファイアフライ)

Adobe Stockの画像などで学習しているため、生成した画像の著作権リスクが低く、商用利用の安全性が高いのが最大の特徴です。PhotoshopやIllustratorなどAdobe製品との連携が強力で、既存画像の特定の部分だけを変更・追加する「生成塗りつぶし」機能に優れています。

Gemini NanoBanana(ナノバナナ)

Googleの対話AI「Gemini」で利用できる画像生成・編集機能(モデル名:Gemini 2.5 Flash Image)の愛称です。一度生成したキャラクターの表情やポーズ、服装などを、対話を通じて自然に編集・変更できる「一貫性の維持」に強みを持っています。

ChatGPT(チャットGPT)

OpenAIが開発した対話型AIで、DALL-E 3という画像生成モデルが統合されています。最大の強みは「対話による生成」であり、チャットで曖昧なイメージを伝えても、AI側が意図を汲み取ってプロンプトを最適化し、画像を生成・修正してくれます。

Midjourney(ミッドジャーニー)

芸術的で高品質、あるいは非常に写実的な画像生成に特化しています。Discordというチャットツール上で、テキストコマンド(プロンプト)を入力して画像を生成する独特のインターフェースを採用しており、クリエイター層から高い支持を得ています。

Canva(キャンバ)

Webブラウザ上で使えるデザインツールであり、その機能の一つとして画像生成AI(Magic Mediaなど)が搭載されています。デザインテンプレート内で直接画像を生成できるため、SNS投稿やプレゼン資料などを作成する流れで、シームレスに素材を生成・配置できる点が便利です。

実際の制作現場で、撮影した写真をレタッチや合成目的で加工する場合は、Fireflyを搭載しているAdobe Photoshopを使用しています。
撮影写真を使わず画像をゼロから生成する場合は、幾つかのAIを使い分けています。
今回の使用例は、コーポレートサイトや採用サイトを想定したビジネスシーンを例に作成してみました。

レタッチ

レタッチとは写真の明るさや色合いの調整、不要な部分の削除など、より美しく見せるために加工・修正することで、AIが普及する以前から様々な用途で行われています。

明度、彩度、色調の補正

写真のクオリティを上げるため、明度、彩度、色調を補正します。

よくあるケース

  • 暗い写真を明るくする
  • 人物の顔色を良くする
  • 色が沈んでいるので彩度を上げる
修正例:全体的に明るく、肌の色を鮮やかに調整した

削除

写真に映り込んでる不要な物を消します。

よくあるケース

  • 社外秘の資料を削除、または文字が判別できないようにボカす
  • 写ってはいけない人物を削除する
  • メーカー名が写っているペットボトルを削除する
修正例:被写体の女性を目立たせるため、他の人物と卓上の不要な物を削除した

形状補正

撮影の時には気付かなかった顔や服装の乱れを補正します。

よくあるケース

  • ニキビを消す
  • イヤリングを消す
  • 服のシワ修正
  • 曲がったネクタイの補正
修正例:髪の毛の寝癖を直して、右頬のニキビを消した

解像度

解像度の小さな画像しかない場合に解像度を上げてシャープネスをかけます。ただし、元画像があまりにも小さいとシャープネスをかけても期待した品質にはなりません。

よくあるケース

  • 解像度の低い支給画像を品質を保持したまま拡大する
修正例:1.5倍に拡大してシャープネスをかけた

合成

別々の写真を合成して1枚の画像に仕上げる手法です。

パーツの合成

写ってはいけないものを差し替えたり、絵的に寂しい場合に窓や観葉植物などの小物を合成します。

よくあるケース

  • モニター画面に別撮りした会社の資料をハメ込む
  • 自社の商品と手を合成して、実際に手で持ってるように見せる
  • 幾つかの製品写真を合成して1つの画像にする
合成例:モニター画面に別の画面を合成した

背景との合成

被写体と背景を合成して色味を合わせます。

よくあるケース

  • オフィスを背景に人物撮影をしたいが室内を見せたくない
  • 外で撮影したいが適当な撮影場所や移動時間の確保、被写体のスケジュールの都合がつかない
合成例:被写体を切り抜いて背景と合成することで臨場感のある写真に

人物の合成

2人以上の人物を合成します。
光の方角や被写体の大きさ、視線の向きなど、不自然にならないよう出来るだけ撮影時に合わせておく必要があります。

よくあるケース

  • 対談コンテンツでツーショット写真が欲しいけど、撮影日のスケジュールが合わないため別々に撮影して合成し、2人並んで撮影したような写真に仕上げる
  • 多くの社員をワンカットで撮るのは場所やタイミングなど難易度が高いので、別々に撮影して合成する。
  • 集合写真で撮影日に欠席した人物だけを後から合成する。
合成例:別々に撮影した被写体を合成して、実際に対談しているような写真に

生成

AIを使って撮影写真に後から物を加えたり、一から画像を生成したりします。

描き足し

レタッチの「削除」の反対で、必要な物を描き足します。
「パーツの合成」との違いは、合成する物をAIで生成する点です。

よくあるケース

  • 仕事のシーンを演出するために机の上に資料を描き足す
  • 季節感が出ないように服装を変える
生成例:眼鏡を生成する

背景伸長

掲載する画角サイズに応じて足りない背景を生成して引き伸ばします。

よくあるケース

  • 横長のエリアに掲載するため左右の余白を生成して引き伸ばす
  • 写真のフレームから頭が切れてるので引き伸ばして描き足す
生成例:左右の背景を生成して引き伸ばす

ゼロから生成

撮影では難しい写真やコラージュ、現実世界には無いシーンなどゼロから生成します。

生成例:撮影が難しいビジネスシーンでもAIで生成すれば可能に

注意すべき点

1.AI生成された画像の著作権・肖像権の問題

企業のウェブサイトでAIによって生成された画像を使用する際には、著作権と肖像権に関するリスクを正しく理解し、慎重に対応する必要があります。AIが作ったからといって、完全に自由かつ安全に使えるわけではありません。
利用するAIサービスの規約を必ず確認するのはもちろんのこと、生成された画像が第三者の権利を侵害するものになっていないかチェックした上で使用することが重要です。

2.画像の編集・加工に対するカメラマンへの了解

撮影写真はカメラマンの作品でもあるので、シワ取りや色補正など軽微なレタッチであれば問題ない場合がほとんどですが、部分生成や合成など大きな加工を施す場合はカメラマンに予め承諾を得る必要があります。

3.被写体本人への了解

AIに限ったことではありませんが、良かれと思って加えたレタッチが、本人に不快感を与えてしまうことがあります。実際にあった例で、企業のホームページで社員さんの白髪を目立たなくしたり、斜視の方の眼球の向きを補正して、先輩デザイナーに注意されました。髪の乱れを整えたりニキビを消したり程度なら問題ない場合も多いのですが、見栄えを優先して本人の個性をないがしろにしないよう注意が必要です。特に、AIによるレタッチは意図して手を加えた箇所以外にも微妙な変化が生じている場合があります。出来る限り事前・事後の了解を得るようにしておくと安全です。

まとめ

コーポレートサイトや採用サイトでは、社内の様子や社員の方を撮影する機会が多くあります。その中には、良い撮影場所や時間の確保が難しいなど、制約の中で撮影することも珍しくありません。そもそも撮影予算が確保できず、支給された画像や素材写真を用いてデザインすることもあります。

制作現場では様々な課題に直面しますが、こういった課題の解消にAIによるレタッチや画像生成の技術が大いに役立ちます。

  • 良い写真が用意できないが、新たに撮影する予算と時間がない
  • 集合写真を撮りたいが、全員のスケジュールが合わない
  • プライバシー等の理由で、被写体の人物が顔出しできない
  • 社員の方の撮影で、モデルのように「映える」写真にするのが難しい
  • ストック写真ではリアリティや自社らしさが出ない

もちろん、AIが生成・加工した画像のクオリティを最終的に判断する、デザイナーの目も重要です。様々なご要望や制約に対し、ご希望に添いつつクオリティを担保したデザインを提供することも、私たち制作会社の重要な仕事なのです。

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