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「候補者体験」で選ばれる企業へ。CX視点の採用サイト改善ガイド

人材獲得競争が激化する中、企業は「選ぶ側」から「選ばれる側」へと立場が変わりつつあります。優秀な人材ほど複数の企業から内定を得ており、選考プロセスを通じてより良い体験を提供してくれる企業を選ぶ時代です。そこで注目されているのが「採用CX(候補者体験)」。候補者が企業を認知してから選考を終えるまでの一連の体験を設計し、志望度向上やファン化を図る考え方です。本記事では、採用サイトを起点とした採用CX向上の具体的手法を、中小企業でも実現可能な形で解説します。

採用サイトは「伝える場」から「もてなす場」へ

売り手市場が続く中で、採用サイトに求められる役割は大きく変化しています。選ぶ側から選ばれる側に企業の立場が移ったことで、候補者体験(Candidate Experience)の見直しが重要になったからです。これまでの採用サイトは、企業情報や募集要項など、必要な情報を魅力的に伝えることが主な役割でした。しかし現在は、候補者との最初の接点として、入社につながる良好な関係を構築するための場と捉えられるようになっています。「伝える場」から「もてなす場」への転換が求められているのです。

認知から応募、選考、内定承諾に至るまでの各段階で、候補者が価値を感じる体験を提供し続けることが、採用CXを高める上で欠かせません。採用サイトは候補者が企業と出会う最初のタッチポイントであり、そこで体験の質が選考への応募や内定承諾に直結してきます。では、何を改善すれば体験の質を高めることができるのか、順を追って見ていきましょう。

採用サイトのCXでよくある失敗ポイント

採用CXを向上させるには、まず現状の課題を把握することが重要です。多くの採用サイトに共通する、候補者体験を損なう典型的な問題を見ていきましょう。

情報の見つけにくさと導線の複雑さ

「知りたい情報がどこにあるのか分からない」「何度もクリックしないと目的のページにたどり着けない」。こうした状況は、候補者にストレスを与え、離脱の原因になります。募集要項や選考フロー、福利厚生といった基本情報が深い階層に埋もれていたり、ナビゲーションが分かりにくかったりすると、候補者の関心は急速に冷めてしまいます。

中途採用の候補者は複数の企業を並行して検討していることが多く、情報探索に時間をかけられません。直感的に必要な情報へアクセスできる設計が求められます。

企業の魅力が伝わらないコンテンツ構成

事業内容や募集要項といった基本情報だけが並び、企業の魅力や独自性が伝わらないサイトも少なくありません。候補者は「この会社で働く意義」や「他社との違い」を知りたいと考えていますが、抽象的な企業理念や形式的な社員紹介だけでは、心を動かすことができません。

企業文化や働く環境のリアルな姿、社員の生の声、成長できる機会など、候補者が入社後の「体験」をイメージできるコンテンツが不足していると、志望度は高まりにくいのです。

操作性の問題による離脱

サイトの使いにくさは、候補者の離脱に直結します。スマートフォンでの閲覧時に文字が小さすぎて読めない、ボタンがタップしにくい、ページの読み込みに時間がかかるといった問題は、候補者にストレスを与えます。

パソコンでは問題なく見えていても、スマートフォンではレイアウトが崩れていたり、操作が煩雑で見づらくなっているケースも少なくありません。通勤時間や休憩時間にスマートフォンで情報収集する候補者が増えている今、デバイスを問わない快適な操作性の確保は避けて通れない課題です。

応募フォーム入力中の離脱

せっかく応募意欲を高めても、応募フォームで離脱してしまうケースは非常に多いです。入力項目が多すぎる、必須項目が不明確、エラーメッセージが分かりにくいといった問題があると、候補者は面倒に感じて応募を諦めてしまいます。応募という最も重要なアクションの直前で候補者を失うのは、それまでの努力を無駄にすることに他なりません。

良質な候補者体験を実現する4つの設計ポイント

候補者体験を高めるには、採用サイトのUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善が欠かせません。ここでは、すぐに取り組める具体的な改善ポイントを紹介します。

第一印象を決めるトップページ設計

採用サイトのトップページは、候補者が最初に目にする場所であり、企業の第一印象を決定づけます。数秒で「この会社に興味がある」と思ってもらえるか、それとも離脱されるかが決まるのです。

効果的な第一印象を生むには、企業の魅力や独自性を端的に伝えるキャッチコピー、視覚的に訴求力のある画像や動画、そして次のアクションへ自然に誘導する設計が求められます。

候補者の関心段階に合わせた情報整理

候補者は、興味の段階によって求める情報が変わります。企業を知ったばかりの段階では「どんな会社なのか」「何をしている会社なのか」といった基本情報を求め、検討が進むにつれて「具体的な仕事内容」「キャリアパス」「選考フロー」といった詳細情報へと関心が移ります。

この関心の変化に合わせて情報を整理し、候補者が自然に必要な情報へたどり着ける構造を設計することで、採用CXは高まります。

直感的に情報を探せるナビゲーション

分かりやすいナビゲーションは、候補者のストレスを軽減し、サイト内での体験を快適にします。「募集要項」「社員紹介」「企業情報」といった主要コンテンツへ、トップページから1クリックでアクセスできる設計が理想的です。パンくずリストの設置や、サイト内検索機能の実装も効果的な施策です。

あらゆるデバイスで快適な閲覧体験を

パソコン、タブレット、スマートフォンと、候補者が使用するデバイスは多様です。どのデバイスからアクセスしても、一貫した質の高い体験を提供できるレスポンシブデザインは、現代の採用サイトには必須といえます。文字サイズ、ボタンの大きさ、画像の表示速度など、細部にまで配慮した設計を目指しましょう。

採用サイトと選考を繋ぐ一貫した体験設計

採用サイトでの体験は、選考プロセス全体の一部です。サイト上での体験と、その後の応募・選考プロセスをシームレスに繋げることで効果を最大化しましょう。

離脱を防ぐ親切な応募フォーム設計

応募フォームは、候補者が最も離脱しやすいポイントです。入力の負担を最小限に抑え、スムーズに応募完了できる設計を目指しましょう。まず、必須項目を最小限に絞ります。氏名、連絡先、職務経歴書の添付など、選考に本当に必要な情報だけを求めることで、候補者の負担を減らせます。入力欄のラベルは明確に、エラーメッセージは具体的に表示することも大切です。「この項目は必須です」だけでなく、「メールアドレスの形式が正しくありません」など、候補者が修正しやすいメッセージを心がけます。

サイト内外で一貫性のあるコミュニケーション

採用サイトで伝えているメッセージと、実際のメールや電話でのコミュニケーションが矛盾していると、候補者は不信感を抱きます。サイト上で「丁寧なコミュニケーションを大切にしています」と謳いながら、事務的で冷たいメール対応をしていては、採用CXは損なわれます。採用サイトで打ち出している企業の姿勢や価値観を、選考プロセス全体で一貫して体現することが求められます。送信後の自動返信メールも、「ご応募ありがとうございます」の一言だけで終わらせず、次のステップの案内や、会社の魅力が伝わる一文を添えることで、候補者との関係性を深められます。

今日から始められる採用CX改善アプローチ

採用CXの向上というと、大掛かりなシステム導入や高額な予算が必要だと思われがちですが、中小企業でもすぐに着手できる低コストの改善施策は数多くあります。できることから始め、段階的に改善を進めていきましょう。

サイト内の文言・画像の見直し

サイトの全面リニューアルをしなくても、既存サイトの文言や画像、レイアウトを見直すだけで、採用CXは大きく改善できます。

例えば「募集要項」のページで、一方的で事務的な言葉遣いを避け、候補者に語りかけるような丁寧な表現に変えるだけでも、印象は大きく変わります。「下記の条件を満たす方を募集します」ではなく、「私たちと一緒に働いていただける方を探しています」といった温かみのある言葉を選びましょう。画像も見直しのポイントです。フリー素材の画像ばかりでなく、実際のオフィスや社員の写真を使うことで、リアリティと親近感が生まれます。

候補者の行動を計測を始める

候補者の行動を把握し、データに基づいて改善するには、無料で使える分析ツールが役立ちます。Google Analyticsを使えば、どのページがよく見られているか、どこで離脱が多いか、応募完了までの経路はどうかといったデータを取得できます。離脱率の高いページを特定し、そこから優先的に改善していくことで、効率的な採用CX向上が可能です。

また、導入には少し手間がかかりますが、ヒートマップツールを導入することで候補者がページのどこをよく見ているか、どこでスクロールを止めているかが視覚的に分かります。これらのツールは無料プランでも基本的な分析ができるので、まずは導入して候補者の行動を観察することから始めましょう。

候補者の声を活かすためのフィードバック収集

採用CXを継続的に向上させるには、候補者からのフィードバックが欠かせません。選考終了後に簡単なアンケートを実施し、採用サイトや選考プロセスについての率直な意見を聞く仕組みを作りましょう。「採用サイトで分かりにくかった点はありますか」「選考プロセスで改善してほしい点はありますか」といった質問を通じて、候補者の視点から課題を発見できます。

採用CX改善に取り組む方へ

採用サイトは、候補者との最初の接点であり、企業の姿勢や文化を伝える場です。UI/UXの改善、魅力的なコンテンツの提供、選考プロセスとの連携を通じて、候補者一人ひとりに価値ある体験を提供することが、これからの時代の採用成功への第一歩となります。ぜひ、今回ご紹介した改善施策を、皆様の採用活動を見直す糸口としてお役立てください。

採用CXの改善箇所は多岐にわたるため、優先順位をつけて段階的に実装していくアプローチが有効です。まず、最も離脱が多いポイントや、候補者の不満が大きい部分から着手しましょう。応募フォームの項目削減や、募集要項ページの文言改善など、コストをかけずにすぐ実行できる施策を優先します。次に、中期的な取り組みとして、UIやモバイル対応の改善など、一定の工数が必要な施策に取り組みます。そして長期的には、採用サイト全体のリニューアルや、選考プロセス全体のデジタル化といった大きな改善を計画します。小さな改善を積み重ねながら、継続的に採用CXを向上させていく姿勢が成功の鍵です。

サイト上の改善ポイントの洗い出しは、Webについての知識が必要になることもあります。スタイルメントのメディアでは過去にサイト改善のポイントをまとめた記事を挙げているので、併せてご覧ください。また、制作サービスでは課題点の洗い出しから具体的な改善プランのご提案も行なっているため、お困りの方はぜひご相談ください。

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