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AIツールを使ってみた!デザイナーが試す「PixVerse」の動画生成

最近話題の「AI動画生成ツール」。名前は聞いたことがあっても、「実際どんなものなんだろう?」「どんな動画が作れるの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、AI動画生成ツール「PixVerse(ピックスバース)」を実際に使ってみた体験をもとに、どんな動画が作れたのか、どんな発見やつまずきがあったのかを率直に書いてみたいと思います。

初めてAI動画生成を試してみたい方や、これからPixVerseを触ってみようと思っている方の参考になれば幸いです。

PixVerseとは?

PixVerse公式サイト

PixVerseは、テキストや画像から動画を生成できるAIツールです。難しいソフトの知識がなくても、数クリックで簡単に動画を作ることができます。動画生成AIとしては比較的新しく登場したサービスですが、そのクオリティの高さと手軽さから、注目を集めています。

操作は、作りたい動画のイメージをテキスト(プロンプト)で入力し、アニメ調や実写風といったスタイルを選ぶだけ。 これだけで、AIが自動で映像を生成してくれます。今回はテキストからの生成を試しましたが、お手持ちの画像をアップロードして動きを加えることも可能で、アイデア次第で様々な表現にチャレンジできるのが魅力です。

料金プランは、気軽に試せる無料プランと、より本格的に利用したい方向けの有料プランが用意されています(2025年10月現在)。有料プランは月額10ドルのStandardプランからとなっており、無料プランでも基本的な機能は試せますが、生成した動画にはPixVerseのロゴ(ウォーターマーク)が入ります。有料プランに加入すると、このウォーターマークを削除することができ、より多くのクレジット(動画を生成できるポイント)が付与される仕組みになっています。まずは無料プランで、使用感を確かめてみるのがおすすめです。

PixVerseを実際に使ってみた!

前述した通り、PixVerseは画像からも動画生成することが可能ですが、今回は「女性が歩く」といったシンプルなプロンプトを使って、テキストからの動画生成を試してみました。


まず最初に試したプロンプトはこちらです。

和訳: 街の通りを歩く女性。

生成されたのは、外国の街並みを女性が歩いている動画。映画のワンシーンのような雰囲気で、ちょっと感動しました。しかも、動画生成速度は体感5〜6秒ととにかく早い。「本当にこれがAIで作られたの?」と想像以上のクオリティについ何度も再生してしまいました。プロンプトで指定しなければ、人物や背景は西洋風の描写になるようです。


次は、人物を日本人に、背景を日本の街に設定してみました。

和訳: 日本の街の通りを歩く日本人女性

結果は、日本人女性が日本的な街並みを歩く動画に。気になったのは、背景の看板の文字が日本語ではなかったことと、女性の服装がやや古めかしい印象だった点です。また面白かったのは、プロンプトで指示していなかったにも関わらず、自然な映像の流れを作るためか、動画の最後に女性が出店に立ち寄るシーンが追加されていました。

この時点で気づいたのは、PixVerseは柔軟に映像を補完してくれる分、理想のイメージがある場合はプロンプトをより具体的にしないとダメだということです。


そこで、次は背景も服装も明確に指定してみました。

和訳: 日本のオフィス街を歩いている、モダンなビジネススーツを着た日本人女性

背景の桜の花びらの形や煙のようなエフェクトが少し気になりますが、全体としてはだいぶ現代的な雰囲気になり、プロンプトで指示した動画に近くなりました。ただ、動画の構図が前回とまったく変わってしまったのには少し戸惑いました。同じ構図で細部を修正したい場合は、少し難しそうです。また、前回の動画と同様に、背景の看板の文字が日本語にならず、文字の生成はまだ課題がありそうです。


最後に、背景の桜の花びらの形が気になったので、緑の葉が生い茂る木に変更。また、構図はシード値というものを指定することで固定できるとのことだったので、前回の動画と同じシード値を指定して再生成しました。

和訳: 緑の葉が茂った日本のオフィス街を歩いている、モダンなビジネススーツを着た日本人女性

結果は、女性も背景もプロンプトで指示した通り、自然で理想に近い仕上がりになりました。途中で差し込む光の表現など、AIで作られた映像とは思えないほどのクオリティです。構図については、シード値を固定しても同じにはできませんでしたが、下から煽るようなカメラアングルという点では同じ雰囲気を維持できました。

使ってみて感じた良い点・気になった点

良い点

まず驚いたのが、その圧倒的な手軽さです。本来、一本の動画を制作するには、企画構成にはじまり、撮影準備、実際の撮影、そして映像をつなぐ編集作業、最終的な色味を調整するカラーグレーディング、書き出しに至るまで、多くの工程と、かなりの時間や手間がかかります。しかしPixVerseはまるでチャットでAIに話しかけるような感覚。プロンプトを投げかけると、数秒後には想像していたイメージが映像となって動き出す。この直感的な体験は、AI技術の進化を実感できるものでした。

そして何より夢中になったのが、AIの「意図しない演出」がもたらす面白さです。指示していないのに、街を歩く女性がふと出店に立ち寄るシーンが追加された時は、AIが文脈を読み取り、物語を自然に補完する力まで持っていることに驚かされました。こうしたAIの柔軟な解釈による「意図しない演出」は、時に自分の固定観念を壊し、新しいアイデアの種をくれます。AIというパートナーと壁打ちしながら、一緒に作品を作り上げていくような、新しいクリエイティブの可能性を感じました。

気になった点

一方で、AIの挙動にはまだ安定しない部分があるようにも感じました。特に悩ましかったのが、一度生成した動画の構図や人物を固定したまま、細部を修正することの難しさです。

「このカメラアングルのまま、服装だけ変えたい」といった、微調整がなかなかうまくいきませんでした。同じ設定(シード値)で再生成しても、完全に同じ構図にはならず、狙った修正を重ねていくには、まだ課題がありそうです。また、背景に映り込む看板の文字が日本語にならなかったり、プロンプトで指示していない桜吹雪のようなエフェクトが現れたりと、ディテールの作り込みにはまだ改善の余地がありそうです。ただ、この技術の進化のスピードを考えると、こうした課題もあっという間に解決されてしまうのかもしれません。今はまだ完璧ではないからこそ、これからの成長がとても楽しみなツールでもあります。

PixVerseは制作の現場で使えそう?

現状、細部のコントロールが利かないため、クライアントに納品するような本番用の動画制作にはまだ難しいのではないか、というのが正直なところです。

しかし、その手軽さとスピードを活かせる限定的な使い方であれば、私たちの仕事を大きく助けてくれる可能性を感じています。特に活用できるのではと感じたのは、以下の2つのシーンです。

企画初期のイメージ共有として 

社内チームでのアイデア出しで「こんな方向性はどう?」とたたき台として見せたり、クライアントへの提案で「完成イメージはこんな雰囲気です」と伝えたりするためのサンプルとして使用する際に、非常に役立つと思います。

従来なら絵コンテの作成や参考映像を探すなど、具体的なイメージを準備すること自体に時間を要します。しかしAIを使えば、アイデアを元に「制作イメージに近い映像」を短時間で生成できます。また、企画の初期段階から関係者全員が具体的な「動く映像」を元に議論できるため、言葉だけでは埋めきれなかった認識のズレをなくし、イメージのすり合わせが格段にしやすくなります。結果として、制作途中の「イメージと違った」という手戻りのリスクも大幅に削減できるでしょう。こうしたプロセス改善は時間短縮に留まらず、私たちが企画のコアアイデアといった、より創造的な部分に集中できるようになります。

ただし、企画のイメージ共有で使う際は、「これはあくまで方向性を見るためのたたき台であり、この映像を直接編集・修正するわけではない」という共通認識を持っておくことが重要です。AIが生成した映像のクオリティが高いだけに、これがそのまま完成品になると期待されてしまうと、のちの制作工程で「イメージと違う」という齟齬が生まれる原因になる可能性があるためです。

自社のSNSコンテンツとして

制作コストを抑えつつ、目を引くショート動画をスピーディーに投稿したいSNS運用などでは、即戦力になるはずです。例えば、これまで静止画だった投稿の一部を動画に差し替えるだけでも、ユーザーの注目を集めやすくなります。品質的にもSNSコンテンツとしては十分だと思います。制作時間を劇的に短縮できるのも大きなメリットです。

一方で、このように手軽に利用できるからこそ、公開前にはいくつか確認しておきたい点があります。まず、利用規約は変更される可能性もあるため、公式の最新版を確認する必要があります。また、ブランドイメージに合わない、あるいは第三者の権利を侵害しかねない映像(実在の人物に酷似しているなど)が生成される可能性もゼロではないため、人の目によるチェックは不可欠です。

まとめ

PixVerseは、動画制作のハードルをぐっと下げてくれるAIツールです。
実際に触ってみると、思い通りにならない部分も多々ありましたが、簡単な操作で数秒のうちに想像以上のクオリティの動画が生成される楽しさは格別でした。

完全に思い通りの動画を作るのはまだ難しいものの、「ちょっと動かしてみたい」「アイデアの幅を広げたい」といった用途にはぴったりです。

無料プランから気軽に試せるので、興味のある方はぜひ一度触ってみることをおすすめします。

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